くまの小話

くまのトラウマ

消臭スプレーの匂いが怖い。

蓼食う虫も好き好きーーと言いますが、世の中には、初めて顔を合わす男に、ホイホイ声をかけてくるオナゴがおります。

 

仕事関係のイベントで、受付をやっていた時に、部署は違うけれども同年代の女性が私に声をかけてきました。

「あなたみたいな人は、パーティでも人気が出るわ。今度、ハロウィーンパーティをするの。ぜひいらして〜」と。

初めてなのに私に声をかけるとはお目が高いと、たかをくくっておりました。

 

しかしながら、仕事の都合がつかず、パーティには参加出来ず、女性からも「残念〜。パーティは盛り上がってるよ〜」と、美女と野獣のベルのコスプレをした写真を送ってきました。

 

一体、なんのお化けなのだろうと思いましたが、その化けの皮が剥がれるのにはそう長くかかりませんでした。

 

次の週、ハロウィーンパーティには会えんかったとして、一緒にランチをしようとお誘いがありました。

 

一度しか会ったことがないのに、ランチに誘うとは、私に気があるに決まってます。

そんな誘いにホイホイついていったわけです。オムライスの美味しい店の近くのスーパーで待ち合わせをして、店には女性の車で向かうことにしました。

 

車に乗り込むと、強烈な消臭スプレーの香り!!!!!!!!

吸う息、吐く息がリセ◯シュ。

そこまで車臭いんかと疑うようなリセ◯シュ。

着て来た服に移るほどのリセ◯シュ。

 

消臭スプレー地獄が終わり、お店に着き、小一時間ランチをしていると、その女性が健康に気を使っている話、料理の話、自分でビジネスを今後やりたいという話、メンター的な人がいる話を聞かされました。

私も負けじと、ビジネスには詳しい話、学生時代にブイブイ言わせていた話を語りました。

 

話をしていると、どうもキナ臭い。

何か、マルチ商法のような、胡散臭い感じ。

消臭スプレーで消したかったのはこの臭いやったんかというような臭い。

 

しかし、その日はマルチ商法の核心を迫るような話はないまま、お別れすることとなった。

帰り道もどぎついリセ◯シュの香りが、鼻に突き刺さる。そして、少しでも誘いに乗った自分の心に香りが突き刺さった。

 

その後、その女性からはメールの一通も来なかった。こいつは金にならないと思ったのだろうか。そして答え合わせをするかのように、女性は、マルチ商法にはまっていて、部署の後輩もカモにしているとの噂が流れてきた。

 

やはりそうだったか。そうか私も、カモにされそうになっとったのかと。

 

香りを嗅ぐと思い出す、マルチのこと、カモのこと。